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何もしない演奏が一番感動的

音楽は完成された姿で降ってくる クラシックを演奏される方は、よくどのように演奏すべきか考えます。例えば、この部分はクレシェンドで、ここはスタッカートで…などのように。 それは大切なことではありますが、もっとも大切なことを忘れてはいけません。 それは自分がどう弾きたいかです。これは好きな演奏家がこう弾いていたから、とか好きなCDがこうだったから、などというものではありません。これは単なるマネです。 実は音楽はすでに完成された姿で存在しています。ただそれは自分の心の奥深くにあるので、普段は見ることができません。多くの人がこれを見ることをせず、それとは別に頭で考えて演奏してしまうのです。 では、この心の奥深くにある完成された姿の音楽は、どう取り出せば良いのでしょう? それが響きを聴くことなのです。このブログでよく書いている、空間の音の広がりを見るように聴くことです。その手助けになるのが、響きを自分の声で歌うことです。ただ歌うのではなくその響きを肉体でも感じるようにします。 ただ聴くというインプットの作業だけでなく、自分の声で響きを作るというアウトプットの作業が、脳をより一層刺激します。 すると、響きに色を感じたり景色を感じたりします。リズムに乗って流れ出すと美しい景色が動き出します。 これがあなたの音楽なのです。そうすると楽譜に書いてある記号の意味も分かってきます。このスタッカートは海の中で泡が弾けているんだな、とか、このスラーは風に揺らめくレースのカーテンだな…などと感じられるようになります。 注意することは頭で考えないことです。音楽を聞いて頭でその様子を考えるのではなく、勝手に湧き上がってきたものが本物です。空間を見ていると、まるで音楽が天から降ってくるような印象です。 このように景色が見えたら、ただそれをもっともはっきり見えるように音を聴き演奏するだけです。演奏を何か恣意的に操作すると、その部分に違和感が生まれます。ただ感じるだけで演奏は変わるのです。何もしないことが大切です。 あなたは何もしなくても価値のある人間なのだから、天から降ってきた音楽をただ感じたまま奏でれば、価値のある演奏になるのです。