その室内楽、本当にアンサンブルできていますか?

室内楽のようなアンサンブルは音の聴き方さえ習得すれば、鬼に金棒!演奏者の技術的レベルを超えた音楽の美しさを醸し出すことの出来るものです。

是非習得して、音楽の美しさを体験して下さい!少しでも多くの方にこのアンサンブルを知って頂くために、以前の記事をまとめてみました。

まず、アンサンブルの場合、自分が演奏しているのはその曲全体であって、自分のパートだけでは無いことをよく理解しましょう。
ベースから内声・メロディーまで全て自分で演奏しているのです。楽器の特性上の理由から、自分の体が扱うのは一つのパートかも知れませんが、脳の活動と言いますか、精神的には全てのパートをコントロールし演奏しているのです。


実際どのように練習したら良いのでしょうか?
まずスコアをよく勉強する事は誰でも思いつくと思いますし、大切なことです。しかし、頭で理解してもそれが感覚と繋がらねば演奏にも繋がりません。また音楽を始めたばかりの方には、ちょっと難しいかも知れません。

具体的な練習は次のような項目で行うのがよいでしょう。

1、耳をを響きに慣らしましょう。
2、声でハーモニーを歌いましょう。
3、楽器で響きを作りましょう。
4、楽譜から思考を外しましょう。
5、響きの中で自由に演奏して見ましょう。


1、耳を響きに慣らしましょう。

普段音を聞こうとすると、無意識にある特定の音だけ聞こうとしてしまいます。人混みでも友人との会話が楽に出来るのはそのためです。しかし音楽を演奏する際、メロディーだけ、あるいはベースだけのように、ある特定の音だけ聞いていては美しいハーモニーは得られず、よい演奏にはなりません。

まず心を落ち着け、空間に広がる響きを聴いてみて下さい。例えば美しい景色を眺めるような感覚で音をぼんやりと聴く感じです。何かの音に焦点を絞ってはいけません。

音の広がりが美しく感じられれば良いでしょう。


2、声でハーモニーを歌いましょう。

次の段階では演奏している曲の最初の和音やその曲の調の主和音などを歌ってみましょう。
その際ピアノなどで和音鳴らして行うと1人でもでき、歌い易くなります。
和音の全ての音をそれぞれ歌う方が和音がより良く聴こえるようになります。

もちろん音の聴き方は1、での聴き方をして下さい。自分で声や音を出すと、その音だけに集中しがちになりますので、全体の響きを聴くよう注意して下さい。

3、楽器で響きを作りましょう。

声に出して歌ったときと同じような感覚で楽器を弾きます。
声で歌うよりさらに音に対する集中力が削がれるため、空間の響きに良く注意して弾きましょう。
1つの和音が美しく響いたら、主要三和音を弾いてみましょう。音が溶け合って美しく響かないときは常に声に戻って下さい。

4、楽譜から思考を外しましょう。

慣れたらゆっくりから楽譜を弾いていきます。楽譜に視線を送るだけで音に対する集中力は気が付かないうちに削がれます。なるべく楽譜は見ないようにしましょう。もし楽譜を見る場合でも、音の響きを十分意識しながら弾きましょう。

5、響きの中で自由に演奏してみましょう。

耳が慣れてくると自然と音が溶け合うようになります。音が溶け合うと様々なインスピレーションが湧いてきますので、音楽が動き出したり、色が見えたり、景色がみえたりしてきます。そのように音が見えたらその景色や動きを感じられるまま、十分楽しんで下さい。最初はうまく行かないかも知れませんし、実感がないかも知れません。しかし毎日続けるようにして下さい。人間の感覚は筋肉と同じで、鍛えなければ元にもどってしまいますし、数日では全く聞こえ方の変化に気付かないかもしれません。


音楽は音から見える色や景色・動きなど、音から感じるもののことです。美しいだけの物理的な音の段階に止まらず、必ず音から感じる段階に進むことが必要です。

それは難しいことではありません。ただ音階を弾くだけでも次元の違う音楽は可能です。それだけでも十分満足できるほど美しいものです。

ただの音の次元から色や景色が動き出す次元の音楽を是非目指して下さい。

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