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ヴァイオリン運弓時の脱力法

ヴァイオリンを弾かれる方で上半身に力が入ってしまう方、弓の動きに体が引きずられてしまう方がいらっしゃると思います。 先生には「力を抜きなさい」と言われていても、どう力を抜いたらいいのかよく分からない、知らないうちに力が入ってしまうなんてことはよくあります。 ちょっとしたエクササイズで体幹を鍛え、美しい奏法を身につけましょう。 まず真っ直ぐ立ちましょう。両足は肩幅に開き、骨盤を上に向けます。(でっちり…出尻?の逆向きです。) 下腹を引き締め背筋を上の方に引っ張り上げます。肩に力が入らないように肩を落とすようにしましょう。 そしてここからが大切。骨盤から背中の方に引っ張り上げたラインをみぞおちの辺りの体の中心に引き寄せます。引き寄せるとは上半身全体を引き上げていた力を体の中心の一本の線に細くする事です。引き上げるラインを細く線状にする事で、肩や胸の力が抜けます。そのまま胸から上を左右に回すように何回か動かします。中心のラインがよりはっきり意識出来るようになります。肩胸腕は引き寄せた中心線の回転につられて動くことを意識しましょう。 ヴァイオリンを持たない状態でこの感覚を掴み、その後ヴァイオリンを持って、同じ感覚で弾いてみて下さい。脱力出来ている感覚があればその感覚をよく味わうようにします。 初めは筋肉や神経の感覚が曖昧かも知れませんが、練習の初めや合間で何回も行って下さい。筋肉や神経が鍛えられれば脱力の感覚が分かるようになり、美しい奏法が身についてくるでしょう。 是非頑張りましょう!

自然なビブラート

ビブラートには指・手首・腕の3種類を曲想に応じて、あるいは自分の身体に応じてミックスしてかけます。また、美しビブラートに手の脱力はとても大切です。 人それぞれ個性があらわれるビブラートですが、一つのイメージを掴むと自分に合った、しかも自然なビブラートがかけられるようになります。 それは、はためくこと。旗が風になびくようにビブラートをかけてみましょう。(風になびく旗は柔らかいので、イメージすると手の力も抜けやすくなります。) 強風の時は細かく強く、そよ風の時は柔らかくゆっくりはためきます。歌の流れが風です。強い曲想では強風にはためくように、柔らかい曲想ではそよ風にはためくようにビブラートをかけてみましょう。 手の大きさや柔らかさは人それぞれです。旗の素材の柔らかさ重さ厚さによってはためき方が変わるように、それぞれの奏者の手や体に応じたビブラートが生まれます。これが音の個性にもつながります。 ビブラートは音楽の流れを表現しています。音符にすると音の長さが示されているだけですが、その中には様々な流れがあるのです。 歌をイメージして下さい。一つのフレーズの中でも様々な息使いで表現されます。その息使いをビブラートで表現しているのです。 感じている音楽と身体のバランスで自分の音楽が生まれて来ます。是非自然に生まれる自分の音楽を大切にして下さい!

学校の勉強にヤル気を出すには!

音楽と関係ないのですが、先日中学生の生徒と話していて、ふと音楽と同じだ!と感じたので、記事にしてみました。 その生徒はなんでも学校の勉強にヤル気が出ず、成績も伸び悩んでいるそうで、学校の勉強がめんどくさくなったり、どうしてもやる気が出ないそうです。 しばらくあれこれと話していて、ふと気付きました。その生徒は今はヴァイオリンを好きで通って来てくれているのですが、以前は本当に嫌々弾いているのが手に取るように分かる子でした。レッスンのとき良く「指だけ置いて音程が合うと思っているのか!」とか、「腕だけ動かして音楽になるのか!それはただの騒音だ」などと良く怒られていた話しを懐かしく出来るまで成長してくれたことは、本当に嬉しいことです。 つまり、その生徒はこの時点ではまだ音楽を一面的にしか捉えていなかったのでしょう。音楽は空間に現実とは違う世界を繰り広げるもの、つまり「目で見るような」「肌で感じるような」「匂いがするような」物とは理解していなかったのでしょう。 学校の勉強も同じです。例えば数学でいえば、ノートに書いた、ただの数字が、それを超えて空間に広がるように感じ取られたり、平面的なグラフや図形が手で触れられ感触が感じられるような、或いは図形の世界を探検するような感性があれば、もっと数学が楽しくなるでしょう。 国語でも題材の小説に出てくる登場人物の顔が目に浮かぶほど、或いはその人物があたがも知人であるかのように感じられたり。理科の星の動きで言うなら、地球や月・太陽の動く音が聞こえるように感じられたり、手を伸ばせば星を触る事が出来るように感じたり、という事です。 このように、正解、不正解のレベルで考えるのではなく、多次元的に捉える事が出来ればもっと興味が湧くはずです。 その分野の専門家となるような人はきっと、そのような多次元的な感じ方を無意識に身につけ、この上ない喜びを感じながら勉強する事が出来たのではないでしょうか。 現在の学校教育は常に評価をする事が求められます。しかしこの評価は客観的な形を求められるため、多次元的な捉え方を蔑ろにすることに繋がっているように思います。 将来を担う子供たちがイマジネーション豊かで、潜在的な能力をフルに発揮して成長出来ることを期待しています。

あなたの演奏は幸せにあふれていますか?

音楽の本来の目的は、潜在意識を解放し心の風通しを良くするもの。それは心が解放されていく豊かさを感じ、幸せになること。 一つの成長段階として高度な演奏技術を身につける事は大切なことです。しかし、もっと大切な事はその段階をさらに超え、心を解放する豊かさを得る事。それは聴いている人も豊かな気持ちにさせ、生きるエネルギーを湧き立たせます。 私たちは目に見えるもの客観的な物で評価をしがちです。 クラシックの演奏に於いてそれは演奏技術でなされる事が多くあります。演奏技術と言っても音の正確さ大きさ強弱の幅音色やビブラートのコントロールなど多岐に渡り、それらの巧みさを音楽性と勘違いする事があります。しかし、それらは言ってみれば物理的なものに過ぎません。 実はもっと大切なものは演奏者から発せられる「気」と言いましょうか、目に見えない耳で聴こえない何かなのです。音楽とはそんな心が映し出された音、そして音を通して演奏する人聴く人それぞれが心を通わすことができるものなのです。

ヴァイオリンの指板は強く押さえない

ヴァイオリンの習い始めは指板をしっかり押さえなさい!と指導されると思います。それはある意味正しいのですが、正しく理解しないと、むやみに力を入れてしまうことになります。 指の柔らかい子供はしっかり抑えることで、指の形を作り上達につながりますが、ある程度体の出来上がった人にとっては、力みの原因になります。また左手の指が力を入れることで固定されてしまい、音程もかえって悪くなります。 ここで脱力した指板の押さえ方について説明します。 手のひらは出来るだけ力を抜きましょう。 今まで力の入っていた人は、弦をしっかり押さえられていないような感じがするかも知れませんが、そのままにして下さい。始めは指板と弦が離れているくらい、弦が指板から少し浮いた状態で柔らかく押さえてみましょう。思い切ってぶわぶわして不安になるくらいやってみましょう。 よくある間違いは左手を脱力すると、右手の弓圧まで軽くなるとこがよくあります。音がしっかり出ないのは左手のせいではなく、右手が原因の場合もあります。 指板は軽く押さえても右手の弓圧はしっかり下腹で支えるように心がけましょう。下腹で弓圧を支えると、下腹から右手で音程を取る感覚がわかると思います。 その感覚が分かると、腹で歌うように音程も曲想も奏でられるようになります。是非試してみて下さい。

ヴァイオリン ピアノの奏法の共通点

ヴァイオリンとピアノは全く違う楽器ですが、奏法には共通点が非常に多くあります。 一体どこが共通点なのでしょうか。一つは身体全体の使い方です。下腹の丹田(場合によってはもっと下の方、遥か地球の中心)から歌のエネルギーが背中を通り、肩 腕 手 指先と流れ、楽器に入っていく感覚はまさに同じと言えます。 ヴァイオリンもピアノも手先だけでも弾けますが、これでは単なる音が出るだけで、音楽にはなりません。そのような落とし穴も共通点かもしれません! 二つ目の共通点は指の形。手のひらは脱力すると自然に全ての指が柔らかく曲がります。この力の抜けた形が、柔らかいホースのように歌のエネルギーを身体から楽器に流していくのです。もしどこかに余分な力が入れば、ホースが詰まった状態と同じになり、歌が自然に楽器に流れません。もちろん肩や腕に力が入っても歌は滞ってしまいます。 その他にもまだまだ共通点はあるの思います。ピアノもヴァイオリンも大変練習に時間のかかる楽器ではありますが、両方取り組むと音楽へのアプローチが多面的になり、より深い音楽ができるでしょう。是非チャレンジしてみて下さい。

人に導いてもらう近道レーニング

人は注意を向けた音だけに聴覚が勝手にクローズアップし、他の音を小さく或いはシャットアウトしてしまいます。また聴覚に対し視覚など他の感覚が優勢になることもあります。これらのことが音を聴いていると思っても聴いていない原因です。 これを楽器を弾きながらでも、ハーモニー全体を聴く能力を高めることが重要になります。 このトレーニングは一人でも、もちろん出来るのですが、なかなか初めのうちは自分が聴こえているのかいないのか、分からなかったり、聴こえていないのに聴こえていると思い込んだりする事が多くあります。 そのような場合、ハーモニーがよく聴こえる人とアンサンブルなどをし、導いてもらう事が近道になります。それを繰り返すうちに自然にハーモニー感をつかむ事ができ、美しい響きを作ることができるようになるでしょう。 一人で英会話を練習するより、他の人と会話した方が早く喋れるようになるのと同じでしょうか。

レッスンの心得

楽器を習得するためにレッスンに通われている方は多いと思います。せっかくお金も時間もかけて習っているのですから、しっかり上達しましょう。その時の心構えに付いて述べさせて頂こうと思います。と言っても、ごく当たり前のことですし、信頼出来る先生の指導を受けることの重要性は言うまでもありません。 まず上達するのは自分ですから、先生にどうにかしてもらうのではなく、自分で上達するんだ、という気持ちでレッスンや練習をしましょう。 先生の言われた通りやっていれば大丈夫、と安易に考えず、先生の意図していることは何なのか?よく考えるようにしましょう。 また同じ楽器を習っても先生によって言われることが違います。ときには真逆の事もあります。それはどちらかの先生が間違っているのではなく、上達のためのルートがいくつもあるのです。 一つの山を登るのにもルートはたくさんあります。違うルートを通れば見える景色も全く違うものです。 同じ様に一つの楽器を習っても、上達のルートが違えばまるで違う練習法になる事はあるでしょう。 何かの理由で先生を変わった時など、前の先生と言われることが違う事はよくあります。そなことで悩んでいるなら、山を遠くから鳥の目線で見る様に眺めてみましょう。自分はどこに向かって何を何のために練習するのか考えてみて下さい。 また、先生に頼り切って何も考えないのでは上達しませんが、腰を据えることなく、あれこれ勝手練習してもなかなか効果は上がりません。 素直に指導に従って努力する事も大切です。大概、体で習得する様なものは、出来る様になって初めて先生の言っていた事はこれなのか!と分かるものです。 先生を信じ、自分で努力して上達しましょう。 また、子供さんが練習しないと悩む保護者の方も多いと思います。そんな時は音楽的な環境を整えてあげて下さい。まず家族みんなで音楽を楽しんだり、演奏会へ出かけたりしてみて下さい。音楽と楽しい思い出を作って下さい。 文化とは家庭や地域に根ざしたものです。家族が音楽に無関心で、地域に何も音楽的な物が無いのに、毎日練習する子供はいません。 まずは家庭の中に音楽を楽しむ空気を取り入れましょう。皆さんの生活が豊かになったと感じたら、きっとお子さんも楽器の練習に、真剣に向き合う様になるでしょう。

色彩豊かな半音階を弾くには!

半音階は微妙な色彩や表情を表現するときによく出て来ます。 そんな半音階のスケール練習は何の調も同じ?ようにら感じてしまいます。 そこで、半音階を表情豊かに弾くための練習法を紹介します。 音の進行的にはどこを切り取っても同じような半音階ですが、その下で流れるハーモニーや調性によって音の役割は1音1音異なります。理論的に分かるだけでは不十分です。音の表情としてそれを感じられるようにしましょう。 そこで、その調の主和音の上に半音階を乗せ、1音1音の表情の違いを感じてみて下さい。その他主要三和音の上で半音階を弾くことや、同じ半音階を様々な調の和音の上で弾いてみる。その表情の変化をしっかり味わって弾きましょう。もちろん、その前に全ての音をハーモニーと音の広がりを感じて声で歌うことも大切です。 このような練習がしっかり出来ていると、曲の中で半音階が出て来たとき、瞬時にその表情を感じ取り、美しく表現できるようになります。 是非、半音階ならではの美しい表現をして下さい!

ゆっくり弾くことは非常に効果的

弦楽器を練習する場合、ゆっくり弾くことは非常に効果的です。 一つ一つの音の流れや表情を身体の使い方とシンクロさせながら細やかに感じ取ることができ、曲が表情豊かに仕上がります。 音階などではゆっくり弾くことで長い時間指の形を保つことになり、より効果的になります。特に重音などでは効果が高いです。 ゆっくり練習する場合は音の流れをしっかり感じることが大切です。ただ音が伸びているのではなく、次の音に向かって進む感覚を持ちましょう。 身体の中の感覚を研ぎ澄ますことも大切です。弓圧をしっかり下腹の丹田で支え、そこから出る歌が弓を通し楽器に入って行く、その歌が楽器から空間に音として広がる事をしっかり味わうように感じ取ると上達も一層速くなります。

楽譜の見方 読み方

オーケストラや室内楽をするときみなさん楽譜を見られると思います。 合奏では周りの音や動きをつぶさに察知せねばならないので、楽譜を見ると言ってもじーっと見ているわけにはいけません。 かと言って目を話すと間違える…。なんて思ったことはありませんか? そんな悩みにお答えします。 楽譜は1音1音読んでいるのではありません。もちろん暗譜するほど練習してあるのが良いのですが、なかなかそうもいきません。 大まかに、フレーズごとに捉えていきます。音楽は大体流れがあり、突然変な音に動くことは稀です。ですから半分は想像して弾いていけるのです。(想像もつかない音に動く曲は本当に大変です…) 「想像」と言いますと、書いてある音と違う曲になってしまわないか…と心配されるかも知れませんが、なんとなく楽譜を見、周りを聴きながら弾いて行くと、これがどういうわけかちゃんと弾けて行くのです。 それが音楽の洞察力と言って良いでしょうか。文章を読むように、瞬時に音楽を理解して表現していくのです。 そんなふうに言うと、相当レベルの高い話のように思われるかもしれませんが、意外に誰でもなれます。文章を読むとき一文字づつ読むのではなく、一つの単語ごとや、ある程度の文の塊を一目で捉えて同時に意味を理解して行くのと同じです。 そしてそのための練習が音階練習なのです。音階練習は調性と音の並びを感覚で身に付けます。音楽は音階からできていますので、音階という部品をいっぱい持っていれば、曲に応じてそれを出すだけなのです。音楽の文法を感覚的に身につけることによって、音楽の表現している物が掴めていくのです。 そして楽譜に気を取られないぶん音楽に集中できよるようになり、豊かな表現が出来るようになるのです。 是非みなさん音階練習して下さい。

アンサンブルと縫い物

なんだか変なタイトルですが…。このブログに法隆寺の部材と音楽について書きましたが、縫い物 生地を縫い合わせて作る洋裁とアンサンブルが非常に似ているのでご紹介したいと思います。 洋裁は型紙に合わせて布を裁ちます。この裁ったパーツだけを見るとハギレと変わりません…。気を付けないとゴミと間違えて捨ててしまいそうです…。 こんなハギレのようなパーツを縫いわせると、本当に不思議な事に洋服に変身するのです。縫い合わせる前のパーツはみんな平面ですが、無理矢理と思うほどマチ針を指し、縦横を合わせて縫い上げると立体的な洋服に出来上がります。 初めて洋服を縫った時は当たり前なのに本当に感動しました。 この作業をしているときにふと閃いたのが、これはアンサンブルと同じではないか!ということです。アンサンブルはパート譜だけ見るとなんだかよく分かりません。音と音を繋ぎ合わせ合奏をすると急に音楽が立体的に浮き上がるのです。 しかも、一人一人が違う癖やイントネーションを持っていても、お互いに引っ張り合い重ねていくと自然にバランスがとれ音楽になるのです。 そうして作り上げた音楽は立体的にまるで質量があるかの様に宙を舞うのです。 こうしてみると音楽は本当に色々な事に繋がっていますね。

カラオケは楽しくてクラシックは退屈と感じるわけ

学校で習う音楽は嫌いだけどカラオケは好き、と言う学生はけっこう多いのではないでしょうか? また、かつてピアノを習っていたが今は全く弾かない、という人も多いように感じます。 この理由は実は同じところにあります。音楽は本来 心の奥から出てくる物で、「心の言葉」と言って良いでしょう? しかし、音楽教育として音楽を習うと「心の言葉」と言う何だかよく分からない部分を省いて、音を鳴らす事を教えられてしまうのです。心が無く外側の見える部分だけになってしまうのです。星の王子さまの「本当に大切なものは目に見えない」と言う言葉通り、本当に大切な部分は音ではなく心。その部分が無く、目に見える部分(音は目に見えませんから、この場合物理的な現象としての音)だけになってしまうのです。 結局、習った物は音楽では無く、抜け殻のただの音になるってしまうことがあるのです。それに比べ、カラオケは楽しむことがまず重視されます。つまり心を表に出し、発散することが出来るのです。 ではクラシックも楽しければ何でも良いのか…とは思いません。一つ一つの基礎的な練習がもちろん大切です。ただ、その一見無味乾燥と思われるような練習にも、心を通わせ生きた音楽にする事に細心の注意を払うことが重要なのです。 それは茶番めいた感想を言ったり、心にもない大げさな表現を求めたりする事ではなく、ただただ心の言葉が音に込められているかを聴き分けることです。どんな練習にも心を通わせる事で生きた音楽になるのです。

法隆寺とアンサンブル

  世界最古の木造建築と言われる法隆寺に使用されている木材は、木材の癖をそのまま生かすため、どれ一つとして同じ形が無いそうです。加工技術が現代のような機械を使う加工でなく、カンナで削り出す方法であるため、全て同じ寸法にすることが難しいのです。 そして、その不揃い 言うと悪く聞こえますが、木材の癖をそのまま残した部材をバランスよく組み合わせることであの美しく千年以上も建ち続ける法隆寺の建物が出来ているのです。 実はアンサンブルもこれと全く同じことが言えます。良いアンサンブルとは一人一人の癖を個性として生かし、調和を作っていくものなのです。音を合わせるために皆同じ弾き方、チューナーで計ったような音程では生きたアンサンブルはできません。 それではみんなバラバラで合うのか…と思われるかも知れません。 このようなそれぞれ違った弾き方を合わせるのが感覚を開いた音の聴き方です。他の人の音をあたかも自分が弾いているかのように感じる聴き方です。アンサンブル全体を自分が率いて弾いている弾き方です。 このようなアンサンブルができる、こなような音の聴き方ができると言うことは、他人の個性を認め調和をしていくと言うことです。 是非、ただ美しいだけでなく、個性を生かし本当の生きた音楽をして下さい!

これ以上無い楽器演奏上達のコツ

これ以上効果的で簡単な上達法に気付きました。あるスピーチをする番組で、幸せについて話していました。 幸せだと脳の機能が高くなる そうです。それを聞いてなるほど!と気が付きました。 私は以前から「.音が綺麗だなぁ」「綺麗なおんがくだなぁ」と感じながら練習すると凄く練習効果が上がると思っていました。 これはまさに「幸せだと脳の機能が高くなる」現象ではないか!綺麗だなぁと感じることはポジティブな感情で幸せな状態ということです。その状態で練習しているのですから、上達が早いのは当たり前ですね。 逆に「あぁ難しい…、全然弾けない…」と思って練習すると、本当に上達しません…。 とは言え、難しい課題にぶつかり上手く弾けないときに「わぁ!綺麗!」とは思えないと思います。 そんな時はまず弾けるようになろうと思わず、何が美しいのか探してみて下さい。その美しさを感じられる速さと量で練習するように心がけましょう。 なにはともあれ「わぁ綺麗!」と感じながら練習することが、もっとも簡単で効果的なコツですね!

ヴァイオリン ハイポジションへ上がるコツ

ヴァイオリンを弾いていて、ハイポジションに突然上がるのはなかなか恐ろしいものです。特にオーケストラの曲などは何とも弾きにくいポジションを強いられたりします。そんな突然のハイポジション、闇雲に飛び付いてもなかなか音は合いませんね。 安心して一気にハイポジションに上がる方法を説明します。 まず、一気に上がるポジション移動でも音楽の流れの中にあることを覚えておきましょう。 第一にメロディーの流れをよく歌って掴んでおいて下さい。歌い方はこのブログの中で説明しています。 http://soundview3.blogspot.jp/2017/08/blog-post_60.html?m=1 この流れを歌いながら弾くことで、音程はとりやすくなります。 しかし一気にポジション移動する際のコツがあります。 まず上がった音に向かってその前のフレーズを深くお腹の底から歌うようにします。弓圧を深く感じ、ビブラートもしっかりかける感じです。その流れの勢いに乗ってポジション移動をしてください。 イメージとしてはしっかり踏み込んでジャンプする感じです。 音楽は流れなので、跳躍進行する場合は音楽的にもその前の部分は跳躍に向かってエネルギーが溜まるものです。したがって音楽的にも自然な流れが表現出来るようになるでしょう。

ヴァイオリン重音、ポイントを押さえて効果的に練習しましょう。

ヴァイオリン重音、ポイントを押さえて効果的に練習しましょう。 ヴァイオリンを弾かれる方でも重音が苦手、という方は意外に多いのではないでしょうか? 重音は曲の中でも頻繁に出てきますし、重音を練習することで耳を良くする効果や、左手のフォームを良くする効果もありますので、是非チャレンジして下さい。 練習の手順 1.ポジションの確認 まず、左手の抑える場所は完璧に覚えましょう。指と指が開くのか閉じるのか、ポジションを移動した場合上の音・下の音がそれぞれどれだけ移動するか、などです。 2.和音を声に出して歌います。上の音と下の音が溶け合い、美しいハーモニーを作るように歌いよく聴きます。3.で和音を分けて弾きますので、同じように歌います。下の音→上の音→和音を聴きながら上あるいは下の音、の順番です。 歌うとき、ただ音を歌うのではなく、旋律が流れるように意識すると効果的です。 3.一つの和音ごとに下の音→上の音→合わせる、の順番で弾く。 今、歌ったように弾きます。下の音→上の音→合わせる、と弾きますが、メロディーが流れるように。下の音に上の音が乗るように意識します。和音が鳴ったらその響きが部屋に広がるように聴いてください。 ポジションが移動する場合も中間音を正確にとり、弾いていきます。 このときによく歌って弾くと、1.で覚えた指の置き方が音と共に覚えることが出来、効果的です。 3.同時に弾く。 分けて弾いたものを同時に弾きます。和音を心の中でしっかり歌います。左手はあまり指板を押さえ付けないようにし、音程は右手(弓の方)で音程を取るような気持ちで弾きます。 ゆっくりできるようになったら、少しづつ速くしていきましょう。 心でより美しく正確に感じながら弾くことは、練習効果を想像以上に高めます。心を落ち着けて一つ一つ音を味わいながら練習して下さい!

その室内楽、本当にアンサンブルできていますか?

室内楽のようなアンサンブルは音の聴き方さえ習得すれば、鬼に金棒!演奏者の技術的レベルを超えた音楽の美しさを醸し出すことの出来るものです。 是非習得して、音楽の美しさを体験して下さい!少しでも多くの方にこのアンサンブルを知って頂くために、以前の記事をまとめてみました。 まず、アンサンブルの場合、自分が演奏しているのはその曲全体であって、自分のパートだけでは無いことをよく理解しましょう。 ベースから内声・メロディーまで全て自分で演奏しているのです。楽器の特性上の理由から、自分の体が扱うのは一つのパートかも知れませんが、脳の活動と言いますか、精神的には全てのパートをコントロールし演奏しているのです。 実際どのように練習したら良いのでしょうか? まずスコアをよく勉強する事は誰でも思いつくと思いますし、大切なことです。しかし、頭で理解してもそれが感覚と繋がらねば演奏にも繋がりません。また音楽を始めたばかりの方には、ちょっと難しいかも知れません。 具体的な練習は次のような項目で行うのがよいでしょう。 1、耳をを響きに慣らしましょう。 2、声でハーモニーを歌いましょう。 3、楽器で響きを作りましょう。 4、楽譜から思考を外しましょう。 5、響きの中で自由に演奏して見ましょう。 1、耳を響きに慣らしましょう。 普段音を聞こうとすると、無意識にある特定の音だけ聞こうとしてしまいます。人混みでも友人との会話が楽に出来るのはそのためです。しかし音楽を演奏する際、メロディーだけ、あるいはベースだけのように、ある特定の音だけ聞いていては美しいハーモニーは得られず、よい演奏にはなりません。 まず心を落ち着け、空間に広がる響きを聴いてみて下さい。例えば美しい景色を眺めるような感覚で音をぼんやりと聴く感じです。何かの音に焦点を絞ってはいけません。 音の広がりが美しく感じられれば良いでしょう。 2、声でハーモニーを歌いましょう。 次の段階では演奏している曲の最初の和音やその曲の調の主和音などを歌ってみましょう。 その際ピアノなどで和音鳴らして行うと1人でもでき、歌い易くなります。 和音の全ての音をそれぞれ歌う方が和音がより良く聴こえるようになります。 もちろん音の...

ヴァイオリン、身体と耳を整えるウォーミングアップ

みなさん毎日のヴァイオリン練習、決まってこれを弾く、これを弾くと調子が良くなる、といった物があると思います。 今回は私がこれをすると調子が整う!というスケール練習を紹介します。 まずE線第5ポジションの1の指で#ドを取り、キーボードやチューナーでミの音を鳴らします。 その音を聴きながら#ドから上にホ長調の音階を弾いて行きます。 出来るだけゆっくり(1音4拍くらい)、チューナーやキーボードで鳴らしている音と、全ての音が完璧に溶け合うようよく聴きながら弾きます。よく溶け合うと結合音と呼ばれる音が聴こえてくると思います。 注意することは左手の指で音程を探るのではなく、両手がお腹のあたりから繋がってしっかり歌っていことです。弓圧を下腹で支えるようにし、腹で歌うように、歌の気が身体を流れるのを感じるように弾きます。特に背骨の辺りを上に向かって音が流れて行くのを感じるようにします。 そして1オクターブ上の#ドの3度上のミまで行ったらまた#ドまでゆっくり戻ってきます。 もう少し上まで行っても#ド辺りで戻っても大丈夫です。 この#ドあるいはドから1オクターブと3度行って戻るスケールを、主音をキーボード或いはチューナーで鳴らしながら、全調弾きます。(途中でやめる日もありますが…) 高いポジションは指の幅が狭くなり音程をとるの難しくなります。指の感覚よりも歌う感覚で音程を取った方が遥かに楽に正確に音程をとることができるので、身体で歌う感覚が掴みやすいのです。その後、低いポジションを弾くと耳と身体が整っているので、音程がとてもクリアに聴こえるようになります。そしてその後の練習がはかどります。 ヴァイオリンを練習される方は、ちょっとやってみて下さい。

何もしない演奏が一番感動的

音楽は完成された姿で降ってくる クラシックを演奏される方は、よくどのように演奏すべきか考えます。例えば、この部分はクレシェンドで、ここはスタッカートで…などのように。 それは大切なことではありますが、もっとも大切なことを忘れてはいけません。 それは自分がどう弾きたいかです。これは好きな演奏家がこう弾いていたから、とか好きなCDがこうだったから、などというものではありません。これは単なるマネです。 実は音楽はすでに完成された姿で存在しています。ただそれは自分の心の奥深くにあるので、普段は見ることができません。多くの人がこれを見ることをせず、それとは別に頭で考えて演奏してしまうのです。 では、この心の奥深くにある完成された姿の音楽は、どう取り出せば良いのでしょう? それが響きを聴くことなのです。このブログでよく書いている、空間の音の広がりを見るように聴くことです。その手助けになるのが、響きを自分の声で歌うことです。ただ歌うのではなくその響きを肉体でも感じるようにします。 ただ聴くというインプットの作業だけでなく、自分の声で響きを作るというアウトプットの作業が、脳をより一層刺激します。 すると、響きに色を感じたり景色を感じたりします。リズムに乗って流れ出すと美しい景色が動き出します。 これがあなたの音楽なのです。そうすると楽譜に書いてある記号の意味も分かってきます。このスタッカートは海の中で泡が弾けているんだな、とか、このスラーは風に揺らめくレースのカーテンだな…などと感じられるようになります。 注意することは頭で考えないことです。音楽を聞いて頭でその様子を考えるのではなく、勝手に湧き上がってきたものが本物です。空間を見ていると、まるで音楽が天から降ってくるような印象です。 このように景色が見えたら、ただそれをもっともはっきり見えるように音を聴き演奏するだけです。演奏を何か恣意的に操作すると、その部分に違和感が生まれます。ただ感じるだけで演奏は変わるのです。何もしないことが大切です。 あなたは何もしなくても価値のある人間なのだから、天から降ってきた音楽をただ感じたまま奏でれば、価値のある演奏になるのです。

びっくりするほど上達する耳で弾くピアノ奏法

ピアノは弦楽器と違って鍵盤を押せばピアノの音が出ます。音程も調律がされていれば一応正しく出ます。 そのため弦楽器のように習い始めは耐えられない音が出る…ということは無い分、始めやすい楽器である、とは言えます。 しかし、こと押せば鳴ることがピアノの落とし穴なのです。 ピアノを弾かれる方は誰も「いやいや、音はちゃんと聴いてます」と言われるかも知れませんが、もっと聴いたらもっと美しく弾けるようになると思ってみて下さい。 このブログのいたる所に音は空間に広がり、景色を見るように聴く、ということを何度も書いていますが、ピアノはこの聴き方の効果が最も現れやすい楽器です。 和音が楽に出る事や大きな共鳴箱を持っている所から、豊かな響きを得ることが出来るからです。 実際ピアノを練習するときどのように音を聴くのか説明しようと思います。人の耳は何か特定な音だけに意識が集中するようになっています。つまり両手で弾いていてもあるときは右手のメロディーだけ、あるいは左手のベースだけ、というように部分的にしか聞いていない可能性があります。 そこで、楽譜の音を一音残らず聴き取るために、全ての音を声に出して歌います。もちろん声がピアノのハーモニーと溶け合い美しさが感じられるように歌います。音が美しく響くのが分からない場合はまだまだ足りません。 空間を意識し音の広がりを眺めるように聞いて下さい。 協和音・不協和音全ての溶け合うように聴きます。 メロディーもハーモニーに溶け合うように歌います。なぜならメロディーはハーモニーがあって初めて美しく流れるからです。 実際演奏するとき、どのくらいメロディーを浮き立たせるかは、演奏者の感性次第です。しかし、音を聴く練習のときは溶け合い包み込むように歌いましょう。 たくさんの声部が流れるフレーズでは 拍ごとの音の重なりの響きを歌って捉えるとともに、一つ一つの声部の流れも歌いましょう。利き手でない方で奏でるメロディーは意外に歌い難いものです。 このように歌って弾いていると、自分がどんな音を表現したいのか明確に見えてきます。歌うことによって一つ一つの響きの色を感じ、それがリズムに乗って流れ出すわけですから、それはそれは美しい光景が広がります。 この美しい光景が、まさに光...

病は気から演奏の問題点も気から

「病は気から」と言いますが、 東洋医学では体には気が流れており、その気が滞るとその部分に病気が現れるそうです。 演奏も同じことが言えます。先日ヴァイオリンを弾かれる方から音程について相談を受けました。 その方の弾く姿を見ると、左手の指が不自然に一生懸命指を動かしていると言う印象です。 しかし、もっと全身を観察し音をよく聴くと、原因は左手ではない事が分かります。歌という「気」が体を流れていないと言いますか、その「気」の流れが非常に弱いのです。 そのため、体が自然な歌の流れを感じず、複雑な動きをする左手の指に余計な意識が集中する。結果、無理矢理指を動かしてしまう状態になっていたのです。 そこで、何回か練習している曲を声で歌ってもらいました。 1. 注意する点は伴奏とのハーモニーを感じる。音の空間を意識し感覚を開きます。 2. 下腹の辺りまで空間に広がる音を吸い込むつもりで歌うこと。大きな声で歌う必要はありませんが、喉だけで音程を取っていてはリズムの流れが感じられません。しっかりお腹で歌うようにします。 このような事に気をつけ、何回か歌ってもらいます。その後ヴァイオリンで演奏してもらいました。その際、歌ったときの下腹をよく感じ、歌である「気」が下腹から背骨・肩・腕・指、そして指から楽器に流していくように感じます。左手の指の動きは忘れ、歌の流れだけ感じるようにします。 もちろん右手に流れる歌も同様に感じます。 全身下腹辺りから背骨・肩・腕・指・楽器へと歌を強く流すように意識します。 歌が身体を流れる事に意識して、何回か練習してもらいました。すると、身体の動きが自然になり、音程も良くなり、何よりも本人が歌っている、と言う実感を得ることができたそうです。 楽器を弾かれる方は様々な問題にぶつかると思いますが、まずは全身を流れる歌を意識すると問題解決も早くなります。

光と音 音楽は音でできた景色

光は電磁波の波、音は空気の振動の波です。 目に見えるものは、様々な周波数の光の波が組み合わさったものを目が捉え、脳が認知したものです。それと同じように音楽も、様々な周波数の音の組み合わさったものを、耳が捉え脳が知覚します。 まるで美しい景色が広がるような演奏の秘密がここにあるのではないでしょうか。美しい景色を眺めるように、音と音の重なり合いとその広がりの空間を意識して演奏することが大切になります。 しかし、人間の耳はたくさんの音の中から注目した一つの音を抜き出して聞く力は優れていますが、逆に同時に様々な音を聞くことには慣れていません。同時に聞いても脳が注目した一つの音に焦点を当て、他の音を認知しないようにしてしまうのです。 リラックスして何気なく音楽を聴いているときは全体の響きを同時に捉えていても、楽器を弾こうとするとどうしてもある特定の音に注意が注がれがちになります。 日々の生活ではこの能力は欠かすことが出来ないのですが、音楽を演奏するときは、違う能力を使うべきです。 様々な音が重なり合う音の響き全体を捉え、まるで美しい景色を眺めるように聴くことが大切です。

あなたは個性的ですか?

よく個性を大切にと言われますが、それはどういう事でしょうか? 他の人と一味も二味も違う奇抜な人を個性的な人と言うイメージがありすが、もう少し掘り下げるとちょっと違います。 個性とはその人の持っている性質ですから、別に他の人と違う必要もなければ、同じ必要もありません。もともと持っている自分の性質・性格が個性なのです。なので全く変える必要はありません。 私たちは普段人との関わりの中で生きていますので、常に他の人と比べてしまいます。それはそれでまた大切な事かもしれません。ですが誰もが素晴らしい個性を持っているのですから、素直にそれを出すだけで良いのです。 では個性を大切にするとはどういうことでしょうか?それは自分の心の奥深く、魂と言いますか、自分の価値を自分で認めることです。そして自信を持って生きるとです。そうすると他の人の価値も見えてきます。お互いの価値を認めて初めて個性を大切にすると言えるのではないでしょうか? もし、なんの個性もなく自分のことをつまらない人間と思っているのなら、それは大きな間違いです。何も大きなことをしなくても、大金を稼がなくても、今、目の前にある課題に精一杯取り組んで、それを楽しんで下さい。それに価値があるのです。 全てが行き詰まり何も力が湧かないなら、その様子を映画を見るお客のように眺めて下さい。苦しい状況でなんとか生きている自分が愛おしく思えてくるでしょう。生きているだけで、精一杯生きているのです。 聴衆に自分がどう受け取られているか心配する必要はありません。自分が音楽から感じ取った美しさを、是非お客さんに聴いてもらいたい!と思って演奏して下さい。 内面から溢れ出る美しさは、他と比べることの出来ない美しさと個性を持っています。

楽器演奏、大人になってからでも大丈夫!

ピアノや弦楽器、大人が始めてどこまで弾ける? ピアノやヴァイオリンは3歳4歳から英才教育が必要なイメージがありますが、大人から始めてどこまで弾けるようになるでしょうか? 実際大人になって楽器を始められた方は気になる所だと思います。 もちろん肉体面や脳の構造など、子供とは大きく違いますので、困難はあります。しかし、その課題を一つ一つ克服すれば不可能はありません。 もちろん子供と同じように練習しても十分ではありません。 身体の柔軟性が足りなければストレッチや体幹トレーニングで、身体の使い方を習得するのが良いでしょう。 1番子供と違うのが音の捉え方です。 つまり、子供の頃から楽器を弾いている人は、ネイティヴスピーカーのような感覚で楽器が弾けます。つまり音の感覚・歌う感覚・楽器を操作する筋肉の感覚が繋がっており、それらの感覚を総合的に使うことができるのです。しかし、訓練せずに大人になると聴覚、筋肉、歌う感覚などがそれぞれ独立しています。音を聞き分ける能力があっても演奏に繋がらない。楽器を弾く筋肉だけ鍛えて音程が悪い、また感動が一つもない。或いは几帳面に音程を合わせてもそこから歌の流れや感動が伝わらない。気持ちよく歌っているつもりが酷い音程になる。という状況になりがちです。つまり、様々な感覚を楽器を使って歌う、或いは語るという行為に統合していく必要があります。心の中にある伝えたいものが、楽器を操る作業に意識を逸らされることなく、まるで語るように、歌うように演奏できるように練習する必要があります。それが音楽の美しさを感じ、それを聴き手や共演者と共有することに繋がります。 ここで、感覚を開いた状態で楽器を弾く事が大切になります。これはネイティヴスピーカーになるための練習と言って良いでしょう。それは技術的な奏法の事をなるべく考えず、ただ感じるだけで弾けるようにする練習です。空間に広がる音の世界を見ながらそれを作っていく作業と言ってもよいでしょう。語学を学習する際、文章の内容を頭の中で映像化するなどイマジネーションを働かせると習得が早いのと同じです。 脳には可塑化と言って、例えば脳に障害を負っても、リハビリをする事で脳の違う部分が発達して機能を取り戻す働きがあります。 子供の場合は脳が発達途上で未分化なので、比較的簡...

知らないうちにリズム音痴に!

楽器を練習するとき、メトロノームを使うと弾きにくい、という方ありませんか? メトロノームを使うと知らず知らずのうちにズレている、なんて経験ないでしょうか? 自分では正確なリズムを弾いているので、少々テンポが速くなったり遅くなったりして、メトロノームに合わなくても、まあ大丈夫でしょう!なんて思っている方はありませんか? それらはリズム音痴の始まりです!一見ちゃんと弾けているように見えても(聞こえても)正確には、弾けているとは言えません。そのような場合は音楽の本当の美しさはありませんし、感じることもできません。アンサンブルの場合、他の楽器と合っておらず、アンサンブルの邪魔にさえなっているものです。 人間の肉体は心の影響を受けるのと同様、心や感覚も思った以上に肉体の影響を受けています。心の中で歌っている音楽は、肉体を通し始めて音楽として現実の世界に現れます。 そのとき肉体の不自由さがあると、心の中の歌を正確に再現できません。それが甚だしくズレている場合は、ズレている事を自覚できるのですが、微妙にズレている場合、心の方が(感覚の方が)ズレた音に合わせてしまうのです。 つまり、肉体の不自由さに感覚が引きずられ、リズムが崩れていてもそれを正確なリズムと思ってしまうのです。 私たちの感覚は良くも悪くも曖昧です。自分だけの都合のリズムや音程では、心まで染み込む音楽になりません。そのため、常に正確なリズム・正確な音程に修正する努力が必要になります。 自分の感覚だけに頼らず、メトロノームや正確な音程の出る鍵盤などを使うことは大切になことです。もちろん、機械のような正確さではなく、自由で芸術的なリズムや音程ということです! 詳しいメトロノームの使い方は「メトロノームの使い方」をどうぞ!

イマジネーションが湧く演奏の練習

感覚を開くとイマジネーションがとても湧くようになります。感覚を開くとは身体をリラックスさせ、重力が無くなり身体が宙に浮くような感覚で、自分の周りの空間が果てしなく広がっていくのを感じるようにします。演奏するときもこのように感覚を開くと、音が宙を舞うような何か立体的な広がりを 感じるでしょう。 ではどのように演奏すればよいのでしょうか。やってみると意外に難しいことに気付きます。楽譜や指の方に気持ちが集中したり、音に神経を傾けても楽器から出る音にだけ意識が向き、空間の広がりまで感じることはなかなか高度なことです。意識を全く違う方向に変える必要があります。 まずは簡単な曲や音階から、または凄く ゆっくりから練習すると良いでしょう。感覚が開き、空間に広がる響きにイマジネーションが湧いてくる状態である事を確認しながら弾くようにしましょう。 音を聴く感覚自体を鍛える意識で練習します。 子供時代は機会さえあれば、このような感覚を自然に身に付けることがでます。しかし大人はそれを意識的に身に付けねばなりません。漠然と楽器の練習だけしていると、ひたすら音程とリズムに追い回され、指や腕を動かす運動だけになってしまいます。感覚の意識を変えることにより、楽器がより身近になり心から演奏をしている実感があるでしょう。 私の経験では伴奏や感覚の良い共演者がいると飛躍的にイマジネーションが湧く状態になりやすいです。 この練習は練習自体が楽しくなるものですので、是非取り組んでみて下さい。

アンサンブルは合わせない

アンサンブルでは相手の音をよく聴き合わせることが大切と考える方が多いと思います。 しかし、実際相手の音をよく聴き 合わせても、なかなか合わない経験は無いでしょうか? アンサンブルはまず自分1人が音楽全体を作り上げなければなりません。相手に合わせることは、音楽を相手任せにする事につながります。お互いに合わせていては、行き先不明の意思のない音楽になってしまいます。 自分の中ではっきり音楽を作り、その音楽を自分のパートに込めます。その自分の音楽が込めらた音で相手の音を包み込むように、相手の音を揺さぶるように弾くことが大切です。 そのように弾いたとき、相手も自由に演奏出来るようになります。 アンサンブルは会話のよう、と言われるのはお互いの意思が音を介して繋がるからと言えます。

弦楽器、音程取るのに必死になっていませんか?

3、ハーモニーを感じる。 前回音楽の流れを感じることを説明しましたが、ハーモニーも音楽の流れに重要な役割を果たしています。 ちょっと話がズレますが、協和音、不協和音とありますが、よく勘違いされるのが不協和音です。 不協和音とは不協和と書きますが、ハモらないのでは無く、不協和音と言うハーモニーでハモるものです。2度や7度の音程は絶妙な響きを醸し出し、和音に繊細な表情を加えます。しっかりハモるように耳を鍛えましょう。練習の仕方は今度ご紹介することにします。 話が戻りますと、ハーモニーも音楽の流れに緊張と弛緩を作り、ダイナミックな動きを作ります。この動きの中で音程を取ることが重要になります。 グラデーションのように変化する音色を、より強く感じ、その変化を楽器の音に内在させて行くことで、音楽的な正確さの音程が取れてきます。 また、ハーモニの音や前後の音など、たくさんの音との関わりの中で、今自分が弾いている音程は決まってきます。これは正確にハモるだけでは無く、絶妙にズレるからこそ、ダイナミックに聴こえるのかも知れません。 このハーモニーの音色の変化をしっかり感じ、それを表現することで自分の音程が、音楽的な正確さで定まってきます。 もし単音で弾く場合でもハーモニーの広がりを感じることや、空間の緊張と弛緩の流れを感じることで、演奏の助けになります。 つまり、音程を正確に捉えると言うことは、それ単体で扱うのでは無く、音楽全体の流れの中で捉えねばならないということです。 次回音程練習に最も効果的な音階練習の方法をご紹介しようと思います!

弦楽器、音程取るのに必死になっていませんか?

今回は音程で苦労されている方のための解決法の2、 2、音楽の流れを体で感じる について説明しようと思います。 音符を一つ一つ音合わせをする作業は、一つの段階としては有効だと思いますが、さらに深く進む必要があります。 音符に記された音はほんの表面の薄皮のようなものです。大切なのはその奥に流れる力強い流れを感じることです。 素晴らしい歌手は息の流れの強弱を絶妙にコントロールし、豊かな表現を作り出します。 弦楽器奏者もその流れの強弱を感じることがまず大切です。音程が正確に取れてから表現を豊かにするのでは無く、豊かな音楽が流れているので、音程が正しくなる事をよく理解しておきましょう。 では実際に練習するにはどうしたら良いのでしょう? まず、声に出して歌うことが大切です。声で音の高さをコントロールすると身体に緊張と弛緩が起こります。これが音楽の流れの強弱のヒントになります。歌で音楽の流れが感じられたらオーケーです。 また、初見で弾くこともあるでしょう。このときもただ次々と音を弾いて行くのでは無く、メロディーの流れを感じながら弾くことが大切です。良く分からない場合はハッタリ…でも先ずは構いません。こんな感じだろう…か?という感じで弾いて下さい。 たとえそれが間違っていたとしても、棒弾きよりは百倍マシです。 最後に感じ取った流れを背骨から、両腕に流し、指先から楽器に流して下さい。足の下から身体を通して、天井の方に吹き上げて行くくらいの感覚でもよいです。 その流れを意識することが、指先への無駄な意識集中から解放し、美しく音程を作ることを可能にします。 このように取れるようになった音程が本当の音楽を表現できるのです。

弦楽器、音程取るのに必死になっていませんか?

弦楽器を演奏される方は音程を取るのに苦労している方が少なくないと思います。今回はその解決法を書こうと思います。 結論ら言いますと、 1、左手で音程を取ろうとしない。 2、音楽の流れを体で感じる。 3、ハーモニーを感じる。 このような事に気を付けてみて下さい 今回はその1、左手で音程を取ろうとしない、について説明します。 まず、左手のフォームがきちんと出来ていることは大切ですが、指の押さえる位置をモグラ叩き式にも「もっと高く!」「もっと低く」というのは効果的な練習とは言えません。 指先の押さえる場所に気が行くと、その分音に対する集中力が削がれるということです。 自分では一生懸命弾いているつもりでも、無意識に音を聞いていない状態になってしまいます。 ではどうするかと言いますと、歌で音程を取るように、右手の弓で音程を取る感覚を掴みましょう。 腹の辺りから体の中を歌が流れ、背骨、両肩、両腕、両手の指と、その歌が流れ楽器に入って行く感覚です。 左手はしっかり弦を押さえようと力を入れるのでは無く、腹から指先を通り楽器の中へ歌が流れるような感覚をイメージして下さい。 何か抽象的に感じると思いますが、人間はただ思っただけの事を、想像以上に身体は反応し行っています。自分の歌う力を信じて身体から楽器に歌を流し込んでみて下さい! きっと自分でも驚くような結果が得られると思います。

メトロノームの使い方

メトロノームは使い方次第で3倍早く上達することも、また逆に音楽を殺してしまうこともあります。 今回は効果的なメトロノームの使い方を説明します。 メトロノームは コチ コチ コチ と規則正しく音が鳴ります。この コチ を皆さんは拍子のどこに合わせていますか? 拍の頭に入れるのはNGです。これは合わせるのは簡単なのですが、少々大雑把なリズム感でも合わせることができます。そして、何よりも音楽の緊張感を失わせ、リズムの自由な動きを止めてしまうことが問題となります。 ではどうしましょう? 効果的にメトロノームを使うには、この コチ の音を裏拍に入るように使って下さい。 つまり4拍子では2泊目4泊目、あるいは一拍目裏、ニ拍目裏、三拍目裏、四泊目裏に入るようにしてください。 つまり拍子の頭は自力で感じ取るようにします。そうすることにより、一定のリズムを刻みながら、拍子の自由さが保たれます。 実際、両方の使い方を比べてみると、裏拍に入れた方が音と音の間が感じられ、リズムの流れに動きを感じることができると思います。 実践 さて、実践してみると意外にコチコチコチが裏に聞こえないことに困ると思います。 これはまず、普通にコチコチを表拍にした上で裏拍を感じます。 そして、無理やり裏拍の部分を大きく 1、2、3、…と強く手拍子などで叩き始めると、あら不思議! コチコチコチが裏拍に聞こえてきます。 そして、慣れないうちは諦めず、ものすごくゆっくりから始めて下さい!テンポが上がるに従って音楽が浮き立ってくることでしょう。

アンサンブルの秘密兵器

私はアンサンブルこそ音楽の真髄では無いかと思うほど、アンサンブルが好きです。1+1が10にも100にもなる本当に魔法のような音楽だと思います。 しかし、これがまた一緒に弾く相手によってマイナスになってしまう事も…。人間関係と同じような気もしますが…。 しかし、音が合う事で心も通じると信じています。 こそで、私のアンサンブルの技を紹介します。 アンサンブルはまず耳が大切です。私はレッスンの際、必ず和音を聴く練習をします。ありがたいことに、生徒さんと音を聞く練習をすると、私もその練習が出来るのです! つまり、ほぼ毎日何回も和音を聴く訓練が出来るのです。 そのため気付いたら、何も苦労もなく音を合わせられるようになっていました。 アンサンブルをするときはこの耳を使って、メンバーの音を自分の音でギュッと掴む感覚があります。そしてあるときは風船が膨らむように音を膨らませたり、またあるときはメロディーをダンスのリフトのように下から持ち上げたり、またメロディーを弾くときは、下の方のベースまで包み込むように弾きます。 そのように音で空間に工作か粘土細工でもするかのように、音楽を作り上げます。そうすると、異世界が広がるような美しさが肌に触れるような感覚を持ちます。 こんな至高の喜びなのですが、ハーモニー感の無い人と弾くと、針のむしろように感じることも…。 どうぞ皆さん、耳を鍛えて恐ろしいほど美しい音の世界を体験してみて下さい!耳さえ鍛えれば、演奏技術のレベルは関係ありませんので、アンサンブルの喜びを誰もが感じられるようになると嬉しいです!